肌のバリア機能ってご存じですか?
冬は肌トラブルが増える季節です。
肌が乾燥して化粧のノリが悪くなったり、小じわが目立つようになってしまったり。
また、スキンケアの化粧品を変えただけで肌が荒れてしまったりと、
他の季節より肌が敏感になったと感じる方も多いかもしれません。
そんな冬の肌トラブルは、肌のバリア機能の低下が原因かもしれません。
今回は、そんな肌のバリア機能についてご紹介していきます。
目次
肌のバリア機能とは?
バリア機能とは、皮膚表面の角質層に備わっている肌の保護的役割を持った機能のことです。
皮膚は、表皮と真皮、皮下組織(皮下脂肪層)の三層に大別されます。
表皮内は角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層機構でできていて、
その中でも一番外側に位置するのが角質層、または角層とも呼ばれる層です。
角質層は三つのバリア機能によって肌の水分量を維持したり、外的刺激から肌を守ったりする働きを持っています。
このバリア機能を維持することが肌をすこやかに保つ上で大切なポイントなのです。
下記で3つのバリア機能についてご紹介させていただきます。
1.皮脂膜
角質層の表面は汗と皮脂からなる皮脂膜が覆っています。
この皮脂膜は健康な肌が持っているバリア機能の一つ。
皮脂膜は乾燥や摩擦、皮膚の常在菌と呼ばれる細菌などの外的刺激から肌を保護してくれていると同時に、
角層の水分蒸発を防ぐフタ的な役割も担っています。
2.天然保湿因子(NMF)
角質層内には天然保湿因子、(NMF)が存在しています。
NMFは化粧水などに含まれる水分や保湿成分をたっぷりと蓄える役割を果たします。
3.細胞間脂質
主にセラミドからなる細胞間脂質は、角層細胞と角層細胞の隙間をレンガの間のセメントのように埋め、
つなぎとめることで角質層内の水分を保持する機能を持っています。
バリア機能が低下する理由
肌のバリア機能は水分と油分のバランスが保たれた状態で正常に働きます。
しかし空気の乾燥や紫外線ダメージ、摩擦、誤ったスキンケアなどの刺激が加わると、
肌のバリア機能が低下してしまいます。
皮脂膜が薄くなったり、角質のきめが乱れたりして肌内部の水分がどんどん蒸散し、
さらに乾燥が進むという悪循環に陥ってしまうのです。
また、ターンオーバーが乱れることもひとつの原因となります。
肌の新陳代謝であるターンオーバーは、正常な状態であれば健やかな角質細胞を角質層へ押し上げていきますが、
この周期が早すぎると、角質の剥がれが早くなり、水分を蓄える力が弱くなって乾燥につながります。
一方、遅すぎると古い角質が表皮にとどまってザラつきの原因になってしまいます。
ターンオーバーの周期の乱れには生活習慣が大きく影響し、
睡眠不足や栄養バランスなどによりホルモンバランスが変化することで起こります。
その他、肌の天然保湿因子(NMF)が少ない場合も肌のバリア機能低下の原因となります。
天然保湿因子は角質層にもともと存在するうるおい成分ですが、
アトピー性皮膚炎などの場合は肌に天然保湿因子が少ないことで生じるともいわれています。
肌のバリア機能を回復させるためには
皮膚を清潔にする
バリア機能が低下した状態で化粧品に含まれる成分やアレルゲンとなる異物が肌に付着すると、
肌トラブルにつながってしまうおそれがあります。
まず出来ることとしては朝晩など、正しい洗顔で肌を清潔に保つことが大切です。
その際、クレンジング剤や洗浄力の強い洗顔料は皮脂を取りすぎて肌のバリア機能を損なってしまうため、
肌にやさしいタイプを使用しましょう。
しっかり泡立て、泡で押し洗うようにしてやさしく洗い、ぬるま湯で洗い流すとよいですよ。
乾燥を予防する
肌のバリア機能を高めるためには、肌を乾かさず、水分と油分のバランスが整った状態をキープすることが効果的です。
そのために毎日のスキンケアで肌に十分なうるおいを届けましょう。
お手入れの順番は化粧水、美容液、乳液、クリームの順で行うのが基本です。
化粧水のみのケアでは一時的に肌がうるおっても、保湿成分が肌に蓄えられず蒸発してしまうため、
必ず油分も与えることがポイントです。
また、肌が薄い人、特に新生児やすでに肌に炎症が生じているような人の場合は、
配合成分に注目し、肌にやさしいアイテムを使いましょう。
パラベン、アルコール(エタノール)、香料、着色料、鉱物油、シリコンなどは、
赤ちゃんの肌や、肌バリア機能が低下した肌にとっては、強い刺激となることがあります。
アレルギーテスト済みなどの表示や、成分表を参考にして自分の肌に合うアイテムを選ぶことが大切です。
肌のバリア機能を改善する栄養素
ビタミンA
ビタミンAには皮膚や粘膜のうるおいを健やかに保ち、
角質層に含まれる天然保湿因子(NMF)の産生を促す働きがあります。
しっかり摂ることで皮膚のうるおいを保ちやすくなり、乾燥予防につながるといえるでしょう。
カロテノイドの一種、β-カロテンが、体内で必要に応じてビタミンAに変換されるため、β-カロテン豊富なニンジン、
小松菜、ホウレンソウなどの緑黄色野菜を多く摂ることがおすすめです。
ビタミンE
ビタミンEは活性酸素の働きを抑える効果があります。
また、細胞の酸化を抑えるため、アンチエイジングの観点からも注目されている栄養素です。
大豆製品、ナッツ類、パプリカ、ホウレンソウ などに含まれ、肌の血行を良くし、
ターンオーバーがサポートされることでバリア機能が高められると考えられます。
ビタミンB6
ビタミンB群の一種で、ピリドキシンとも呼ばれる栄養素です。
角質細胞を作り出すタンパク質の代謝に必要な栄養素で、皮膚や粘膜の維持を担う役割があります。
ビタミンB6が欠乏すると、タンパク質の代謝異常が起こってしまい、肌トラブルが起きやすくなることも。
鶏むね肉や、イワシやマグロなどの魚、にんにくやサツマイモなどに多く含まれています。
必須脂肪酸
肌を保護する皮脂の原料となる栄養素で、体内で合成できないものを必須脂肪酸といいます。
オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸などがあり、コーン油や紅花油等の植物性油、ナッツ類などに含まれています。
料理をする際は、必須脂肪酸が含まれる油を使うと効率的に摂取できて良いでしょう。
まとめ
ここまで、肌のバリア機能についてお伝えしてきました。
肌トラブルと密接に関わっているため、肌が乾燥してバリア機能が低下しやすい冬の季節には
特に保湿をし乾燥対策をするとともに、栄養のある食事を摂り、健康的な生活習慣を心がけましょう。